ファンタジー

毒と幻想の処方箋~少女ミルダの記録~

 祖父が亡くなって、今日でちょうど一か月になる。 ルグナ村の端にある狭い家は、祖父がミルダに遺したものの一つだった。二人で暮らしていた時は少し狭く感じた家の中も、今はやけに広く感じる。 ミルダは今日もきっちり夜明けと共に目覚めて、少し離れた…

ある商人の成り立ちについて

 友達とたっぷりと遊び、家に帰ったら、そこには誰もいなかった。 天井の汚れも、壁に刺さったピンも、棚も、そこに並ぶ本も、テーブルも椅子も、いつもと変わらない。ただ、両親の姿と、商品である骨董だけが忽然と消えていた。 日が水平線に沈みかけ、バ…